研究概要 |
本年度は,呼び強度160MPa級の超高強度コンクリートを対象に,材料実験として,温度履歴を与えたペースト及びモルタル供試体の自己収縮ひずみ,線膨張係数,内部湿度,自由水残存量,ヤング率,強度を継時的に計測し,自己収縮を予測するのに必要な各パラメータを得た。また,実大実験としては,鉄筋の有無,養生時期をパラメータに計4体の鉄筋コンクリート柱模擬部材を作成し,内部の鉄筋ひずみ,コンクリートひずみ,温度履歴を計測した。本年度に得られた新しい知見は以下の通りである。 [実験による成果] ・シリカフユームを混入した超高強度コンクリートでは,温度履歴に応じて線膨張係数,自己収縮量,強度が大幅に異なり,高温履歴ほどその値は大きくなる。 ・超高強度コンクリートを用いたRC部材では,内部の各所では温度履歴に応じて自己収縮量が変化する。このことに起因して内部水平方向にも引張応力が生じることが実験・解析によって明らかになった。 ・超高強度RC柱部材で高軸力下における水平耐力の低下を材料的側面から説明可能になる可能性が高い。 [予測モデルの開発] ・高強度コンクリートを対象に,水熱連成移動問題を有限要素に実装し,水和反応モデルと連成させることにより,高強度コンクリート中の温度分布,水分分布を予測するモデルを開発し,研究者の過去の実験データとの整合性から有用であるとの結論を得た。 ・シリカフユームを混和した系における水和反応モデルのプロトタイプが完成した。 ・超高強度コンクリート部材内の初期応力を推定する目的で,温度履歴によって変化する自己収縮量を等価接点力として評価する,増分型線形クリープ解析法を有限要素法に実装した。
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