1.関東地方の戸建住宅におけるエネルギー消費特性と住まい方の調査分析 関東地方の戸建住宅における設備の種類・使い方及び住まい方とエネルギー消費の相関性について調査するため、住宅メーカーの協力を得て80世帯にアンケート調査を実施し、有効データが得られた42世帯について分析を行った。得られた主な知見を以下に挙げる。 ・給湯器別で見た年間一次エネルギー消費量平均では、ガス給湯器119.2GJ、電気温水器128.5GJ、ヒートポンプ給湯器106.5GJとなり、同じ全電化でも給湯器の種類によって消費量が大きく変わる傾向が見られた。 ・暖房設備では、エアコンと比較して電気式床暖房は1.2倍、蓄熱式暖房は1.4倍の消費量であった。またガスファンヒーターと比較してガス床暖房は1.4倍の消費量であった。 ・全電化住宅では保有機器台数の影響を受けやすく、また電力消費に関わる省エネ行動はガス併用住宅に比べて実践されていない傾向が見られた。 ・冷房と暖房の設定温度レベルの回答では暖房設定温度のばらつきが非常に大きく、夏期よりも冬期の方が世帯ごとの着衣量や快適感覚に違いがあると考えられる。また、省エネナビ等の情報提供ツールに対する関心度は高く、導入すれば省エネ行動の実践につながると考える世帯が8割であった。 2.エコライフ情報システム(EcoLIVES)の開発 新たな住宅エネルギー情報収集・表示システムとして、エコライフ情報システム(EcoLIVES)の開発を行い、実際の新築アパートに設置して試験運用を開始した。そのシステム概要を以下に挙げる。 ・外部気象(温湿度、日射量、風向風速、降水量)、室内温湿度(部屋別)、回路別電力消費量、ガス消費量、水道消費量を計測し、それらを分析してその時々に応じた適切な省エネアドバイスを提供する。電力量表示や家電の制御が中心の従来型HEMSとは異なり、日射遮蔽や通風の促進、着衣量の調整など「建物の賢い使い方と快適な過ごし方」にも着目し、住戸ごとの快適性に配慮しつつ、省エネ行動全般に対する情報とアドバイスをリアルタイムに表示するシステムである。 ・住戸ごとのライフスタイルに合わせた情報提供を行うことでシステムの利用度向上を図っており、省エネ行動の実行状況によってポイントがたまり、キャラクターが成長する仕掛けも組み込んでいる。 ・システムは2008年3月より本格稼働しており、データ収集しながら分析を進めている。
|