研究課題
テラヘルツ波発生法のひとつに非線形光学効果による周波数変換がある。既に多様な光源が存在する近赤外領域に部ける周波数がわずかに異なる2種類の近赤外光を非線形光学結晶に入射することにより、その周波数の差に相当する第3の光としてテラベルツ波が発生される。本研究はGaPを導波路に形づくることによりテラヘルツ波だけでなくフオノンも閉じ込め、周波数変換効率を高めることにより、テラヘルツ波発生のみならず、テラヘルツ波の検出・増幅の機能を発現させることを目的としている。本年度はGaP結晶に対して数10〜数100μmというテラヘルツスケールのフォトニック構造を形成できる3次元加工技術を開発した。バルク結晶と異なりフォトニック導波路にフォノンおよびテラヘルツ波が閉じ込められることにより周波数変換効率は向上することが期待される。具体的には、膜厚100μmのGaPエピタキシャル成長層を母相としてテラヘルツスケールのフォトニック構造を作製する技術を確立した。フォトニック周期構造を数100μmの深さまで加工するため、基板にバイアス電圧を印可し、塩素系反応性イオンエッチングにおいて選択比が大きい異方性エッチングを実現した。半径が数10〜数100μmの円孔を数100μmの周期で加工できる。穴の開いていない領域を形成することによりそこが導波路とする。精密な光学測定評価を可能とするCWテラヘルツ波発生を進めつつ、平面波展開法やFDTD法よる電磁界計算を行い、作製した周期構造とフォトニックバンドギャップの関係について理論的な解析を行った。半絶縁性GaPだけでなく、硫黄を添加したキャリア密度の高いGaP結晶の透過及び反射スペクトル測定についても行った。自由キャリアの影響は2THz以下の低周波数領域で顕著となり、その周波数帯においては反射率が増加する。
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