研究概要 |
機上での微細軸成形の高速化と高精度を両立させるために, ツイン電源方式を構築した。電気的絶縁性された2枚のプレートにより, 任意のスリットを設置し, このスリットに対して走査加工を行いスリット幅に対応した微細軸を成形する。これまで, それぞれのプレートに流れる電流を計測しながら, スリット間隙に対して追跡加工を実施してきたが, この場合微小電流の仕上げ加工での対応が困難となる。そこで, ツイン電源であることを利用して, それぞれのプレートと軸との間隙に発生する電圧を追跡制御の基準とした。平均電圧による追跡走査加工は可能であり, 仕上げ条件において微細な軸を成形することができた。具体的には, 軸長さ/直径比75の軸を成形することが可能となった。この場合の軸径は35μmである。 絶縁性セラミックスの微細加工を実現するために, 微小エネルギーでの加工が可能なRC回路による加工を実施した。セラミックス材料によって, 極性の影響が大きく現れる傾向を示した。シリコンナイトライドでは, 電極径の影響もあり, 軸径が小さい場合にのみRC回路での加工が実現した。RC回路での加工特性は材料毎の加工メカニズムを知る上で重要な指標となることが明らかとなった。 開発した成形法により形成した微細軸を用いて, RC回路にて絶縁性セラミックスの微細加工を実施した。絶縁性シリコンナイトライドセラミックスに対して, φ30μm, 深さ250μmの穴加工を達成した。また, 50μm幅のスリット形状の加工も可能であった。
|