研究概要 |
本年度は, 微生物を用いたデバイス開発の際に必要な「微小領域での微生物の位置選択的固定化」基礎的技術開発のため, 微生物の静電ポテンシャルについて調査および検討を行った. 微生物培養時の環境とほぼイオン強度が等しい0.15mMのPBS溶液中での微生物と試料表面の荷電状態をゼータ電位計により評価した. 微生物は1.0×107cell/mLの状態に調整した後, 1分間超音波を当て菌同士の連なりを解除したものを試料溶液とした. 試料表面のゼータ電位測定時のモニター粒子としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)でコーティングした粒径520nmポリスチレンラテックスを用いた. また, 試料表面はガラス基板に成膜したものを用いた. 測定時の液温は25℃で, 微生物もしくはモニター粒子を添加したPBS溶液のpH値は7.4であった. 微生物培養の環境下とイオン強度がほぼ等しいpH=7.4, 0.15mMのPBS溶液中の状態では, 微生物, 試料表面は全て負に帯電していた. 微生物のゼータ電位はおおよそ-10mV〜-32mVの間に分布しており, 菌の種類毎に荷電状態に幅があることがわかった. 試料表面は, 全体的に親水性の表面程, 負に帯電していることがわかった. 超はっ水表面と超親水表面についてはばらつきが比較的大きい結果となったが, これはゼータ電位測定時の流水の影響で測定中に表面のクラスターが若干剥がれてしまうなどの理由で測定によって表面の状態が若干異なってしまったことによる影響だと考えられる.
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