研究概要 |
本年度は、これまでの研究を総括するとともに、引き続き汎用ツールの開発を行った。多孔構造をもつ分離膜の透過性を予測する新しい方法として、多孔質内部での遅い拡散現象をシミュレーションするための新しい方法論の開発を行った。この方法に基づきプログラムを開発し、A型ゼオライトにおけるフッ化炭素などの拡散係数および透過性を推定した。また、本年度の計画に含まれていた汎用プログラムの公開については、昨年度に引き続いて、日本膜学会と協力して「膜学実験法「人口膜編」講習会」(平成20年11月24日、東京で開催)でプログラムを配布し、利用方法の講習を行った。また、RO, NF膜の主用途である水処理系のシミュレーションを開始した。液系を取り扱える新しい平均場ポテンシャルに基づく膜ファウリング・透水性シミュレーションプログラムを開発した。開発したシミュレーション手法を用いて、RO膜における種々の有機物のファウリング現象をシミュレーションし、透水性について実験との比較を行い、妥当性を明らかにした。さらに本シミュレーション手法を汎用プログラムとして広く普及させるために、種々のインターフェイスおよび解析ソフトの開発を行った。このように、本年度はプログラム開発が軌道にのり、論文発表・依頼講演などが増えたことから、当初計画された実験的検証よりも汎用プログラム開発の比重が増えたが、当初の目的よりも充実した成果を得ることができた。
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