研究概要 |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の触媒成長技術を確立すべく、コンビナトリアル触媒探索(CMD)法を用い広範な条件を効率的に調べる。反応/触媒条件と現象の対応を整理した上で、(1)触媒粒子形成と動的変化、(2)触媒粒子構造とSWCNT成長モードの関係、(3)酸素源添加効果、(4)SWCNTの核発生と成長を検討、既往の知見もあわせ構造化し全体像を構築する。 H19年度は、高温TEMグリッドに触媒を担持しCVDを行い、サンプル加工無しに触媒とCNTを観察する手法を開発した。Co/SiO_2触媒によるC_2H_5OH-CVDに適用、Co膜厚約0.1nmでSWCNT、約1nmで多層CNTが主に成長し、その間で成長が抑制される現象は、触媒層からの粒子形成が表面拡散から塑性変形へ変わる為と分かった。Co-Mo/SiO_2二元系触媒では、CVD条件に応じ活性な触媒条件が変わり、C_2H_5OHの気相熱分解で生成するC_2H_2,CO等の前駆体変化が重要と示唆された。不純物ガスを自動排気するCVD反応器を設計・開発し、Fe/Al_2O_x触媒によるC_2H_4-CVD法にてSWCNTミリメータ垂直配向成長を真空ポンプなしの常圧で実現した。触媒条件は狭いものの、水蒸気添加なしでミリメータ成長を達成、酸化剤は触媒粒子での炭素収支が崩れた際に析出する炭素を除去する役割と考えられた。CMDとその場観察を組み合わせ、多様な触媒条件の成長曲線を1度に求める手法を開発した。C_2H_4-CVDでは速やかに成長開始、数um/sで一定に成長後、急停止した。グラフェン1層分の核発生は極短時間に起き、Al_2O_x担体の炭素取り込み作用で10^4/sものターンオーバで成長するが、炭素供給過剰で急停止すると考えられた。気相温度と基板温度を独立制御する"Cold-Gas"CVD法を新たに提案・開発、C_2H_4の気相熱分解で生成するC_2H_2が前駆体と突き止めた。
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