研究課題
近年、数センチ角のガラスやポリマー中にミクロンサイズの液体の流路を形成し、物質の混合・反応・抽出などの操作を集積化して合成・分析の操作を行うマイクロ化学の分野が急速に進展してきた。一方で、マイクロ流路内では、化学物質量が少ないために、それらの反応や量・流れの変化を観測することが難しくなってきた。そこで、本研究では、近年開発してきた分光検出手法である近接場ヘテロダイン過渡格子(NF-HD-TG)法を用いて、マイクロ流路内の物質の時間分解応答や分光情報を得られる手法を開発している。本年度の成果は以下の通りである。(1)マイクロ流路内の物質を1μm程度まで測定可能とした。(2)マイクロ流路内の流速計測において、nL/minオーダーの流速計測を可能とした。また、透明液体・不透明液体の両方を同じ装置系で同程度の低流量を測定できるように改良した。(3)化学反応ダイナミクス計測にNF-HD-TG法を適用して、光化学反応のダイナミクスをナノ秒から数十秒まで測定できる装置を開発した。また、その装置を用いて、アントラセンの光二量化反応のダイナミクスを明らかにしたり、酸化チタンによる光触媒反応において活性酸素種を世界で初めて直接観測することに成功した。上記のように、マイクロ流路内の濃度計測、流速計測、反応ダイナミクス計測装置について開発がほぼ完了し、次年度いくつかの反応系に適用する。
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