1.ファージ提示法を用いた鉱物認識ペプチドの選択 既存のファージペプチドライブラリーを用いて、各々異なる等電点を持つセラミックスの各々に、特異的に結合するペプチド配列を検索し、希土類酸化物やリン酸カルシウム系に関してペプチドの選択に成功した。また、組成ではなく、結晶構造が異なるセラミックスに対しても、ファージ提示法を用いてペプチドの検索を行ったところ、選択されてくるペプチドが異なり、結晶構造もペプチド選択に非常に重要な要因であることが確認された。さらに、ファージ提示法でのファージ抽出操作を変えることによる選択されるペプチドの変化を評価した。その結果、抽出操作でもペプチド選択性が変化することが示唆され、今後検討する必要がある。 2.鉱物認識ペプチドの定量的活性評価と認識機構の解明 検索されたペプチドを緑色蛍光蛋白質もと融合発現させ、蛍光検出による定量的活性評価を行った。定量的活性評価は、まず認識ペプチド部位に変異を導入して、結合に必要な最小のペプチド配列を明らかにした。その結果、セラミックスの認識自体は、アミノ酸4残基程度でも機能するが、強い親和性も保持するには、7残基程度必要であることがわかった。また、ペプチドのセラミックスへの結合は、アニオン分子と競合し、局所的な静電的相互作用が結合要素であることが示唆された。ラングミュアプロットを用いた定量的評価から、その結合はエンタルピー依存的であることも確認できた。
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