これまで取得・作製に成功している酸化亜鉛・酸化アルミナ・酸化コバルト・金・生分解性プラスチックPHBを用いて、異種材料間の接合アセンブリを行った。 金表面特異的抗体断片は強く金表面に結合するために、溶液のイオン強度変化で凝集しやすい金ナノ粒子は金結合性抗体の表面吸着により高塩濃度でも安定に分散した。一方、金結合性抗体と酸化亜鉛結合性抗体と遺伝子工学的に融合した二重特異性抗体を用いると、金ナノ粒子は酸化亜鉛ナノ粒子間を架橋し、ナノ粒子を自発的に凝集させた。また、生分解性プラスチック結合性抗体断片を表面に提示したカドニウムセレン半導体量子ドットを金基板上のPHB膜へ展開したところ、多価効果により、量子ドットはPHB膜に強固に吸着した。そして、その上に、酸化亜鉛結合性ペプチドを介して、量子ドットの上層へ蛍光性酸化亜鉛微粒子を積層化させることにも成功した。 さらに我々は、無機材料と蛋白質間の簡便な接合と積層化にも成功した。酸化亜鉛結合性抗体に緑色蛍光蛋白質(GFP)結合性抗体を遺伝子工学的に融合した二重特異性抗体を作製し、酸化亜鉛基板上へ、二重特異性抗体とGFPを逐次的に展開した。その展開を、リフレクトメトリーで追跡観測してみたところ、二重特異性抗体が酸化亜鉛表面へ吸着し、その後GFPが高効率で酸化亜鉛基板上へ固定化される状況が観測された。二重特異性抗体を使用しない場合、GFPは酸化亜鉛基板に吸着しなかったことから、材料結合性抗体は、無機材料と蛋白質間の選択的接合ユニットとして使用可能であることがわかった。
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