研究概要 |
鉄-銅系の2液相分離を利用して、シュレッダーダストから、鉄、銅資源を効率的に分離回収するプロセスを構築するために、(1)2相分離液体の高速完全分離、(2)鉄中銅の無害化による鉄資源の再資源化の2要素技術に関する研究を行っている。 1、2相分離液体の高速完全分離 鉄-銅系は均一液相を有するが、Si,C,Bなどの添加により、Fe-Si(C,B)合金とCuに2液相分離することが明らかとなっている。その2液相を効率的に完全分離する方法について検討した。容器から液体を排出する際、一般に容器下部に排出口を設け、そこにノズルを設置して排出するが、排出に伴い自由渦が発生し、排出速度の低下を引き起こす。また容器内に上下2相が存在する場合、渦によって発生する気柱に伴って上相が下相と同時に排出される。すなわち渦の発生を抑制することが最も重要である。そこで、渦の発生する条件を水モデル実験により系統的に調べ、その原因を明らかにすることにより、渦の発生を抑制する方法を見い出した。本手法を用いることにより、2相分離液体を高速完全分離することが可能である。 2、鉄中銅の無害化による鉄資源の再資源化 希土類元素の強い還元力を利用した溶鉄中銅の固定による無害化について検討した。溶鉄中にNdを添加することにより、溶鉄中銅がNdと溶け合って溶鉄と2液相分離することを明らかにした。また、FeとCu-Ndの2液相が分離する平衡条件を調べた。FeとCu-Ndは比重が近いため2液相を完全に分離することは困難であるが、CuをNd化合物として固定することは可能であることを明らかにした。
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