研究概要 |
鉄-銅系の2液相分離現象を利用して、シュレッダーダストから、鉄、銅資源を効率的に分離回収するプロセスを構築するために、(1)鉄中Cu濃度の低減と残留Cuの無害化による鉄資源の再資源化、(2)2相分離液体の高速完全分離、の2要素技術に関する研究を行った。本プロセスの確立のための最も重要な要素技術は、分離回収後のFe-rich相を鉄資源としてリサイクル可能とすることである。この点に関して、分離回収する溶鉄中Cu濃度の低減に関する研究を重点的に行った。 1、鉄-銅系は均一液相を有するが、Si, C, Bなどの添加により、Fe-Si(C, B)合金とCuに2液相分離することが明らかとなっている。前年度の研究では、さらにAgをCuの溶媒として用い、Cuを鉄と銀間に分配させることで鉄中Cu濃度を低減できることを明らかにした。本年度は、本手法においてAg中Cuを酸化により除去し、Cu濃度を継続的に低減することにより、Fe中CuのAgへの分配を促し、最終的にFe中Cuを0.2〜0.3%まで酸化除去できることを明らかにした。 2、2液相を効率的に完全分離するためには、反応容器下部に設置したノズルから液体を排出する際、渦の発生を抑制することが最も重要である。ノズル近傍に円柱状の物体を設置することで、渦の発生を抑制する方法を見い出した。本手法による2相分離液体の高速完全分離が、実機においても適用可能でありご効果が期待できることがわかった。
|