本研究の目的は、新しいマイクロ波反射計のシステムを開発し、これを用いてプラズマ電子密度および揺動の空間構造を計測しプラズマ閉じ込めの研究を行うことである。本研究で開発を行っているマイクロ波反射計はプラズマによる電磁波のカットオフ現象を利用した計測法であり、プラズマ内部の局所的な位置での計測ができるという特長をもっている。周波数の異なる電磁波をプラズマ中に入射し、それぞれの波がプラズマ中から戻ってくるまでの飛行時間をレーダ計測することによりその対応するカットオフ層の位置を知ることができ、この情報より電子密度の空間分布を再構成することができる。また密度揺動はカットオフ層の変動を引き起こすためマイクロ波の飛行時間の変化量を計測することにより、密度揺動を計測することも可能である。プラズマ中の広い空間を高分解能で計測するためには、周波数の広帯域化と多チャンネル化を達成することが不可欠である。そこで本研究では特に、広周波数帯域成分を持つ超短インパルスを信号源とし、多帯域マイクロ波反射計システムを構築することを目指している。平成18年度は、まず実際のプラズマに適用する前にシステムの性能を確実に把握するための開発試験を行った。パルス幅16psの超短インパルスから所望するマイクロ波成分が、確実に抽出できることを確認した。そしてプラズマ計測に必要なレベルまでマイクロ波アンプによって増幅できることを確認した。この多帯域に渡るマイクロ波成分を結合あるいは分離して導波路に導くための広帯域ミリ波合成器を設計製作した。これは、マルチレイヤ・メッシュフィルタという新しいテラヘルツ波コンポーネントをマイクロ波帯に適応したものである。このフィルタの特性をベクトルネットワークアナライザ等を用いて調べ、設計した性能が達成されていることを確認した。これらの成果により次年度のLHDプラズマ実験への適用の見通しを得た。
|