本年度は、開発したドップラー反射計システムを用いた密度揺動計測を行った。プラズマとアンテナの配置を調整し、ブラッグ条件を満たす後方散乱波のみを計測できるようにした結果、ドップラーシフトした密度揺動信号を観測することができた。ドップラーシフトしたスペクトルから径電場分布を評価した結果、プラズマ電流と同方向に回転しているプラズマでは正の径電場に、逆方向に回転しているプラズマでは負の径電場になっていることがわかった。一連のELM研究においてプラズマ電流と同方向に回転しているプラズマではELMが大きくなることを見出しており、径電場分布構造とELMの大きさに関する解析を継続している。また、プラズマ電流と同方向に回転しているプラズマでは、炭素不純物イオンからの発光を用いた荷電交換再結合分光をもとに評価した径電場分布とよく一致するのに対し、逆方向に回転しているプラズマでは大きくずれることがわかった。今後の研究でずれの原因を明らかにすることにより、どちらの評価手法がより適切かを判断できると思われる。 本研究で開発したドップラー反射計システムは、既設の周波数固定型のミリ波反射計と組み合わせて使用することで電子密度揺動の径方向相関の評価が可能である。そこで内部輸送障壁における密度揺動計測を行い、ECH入射によりイオン温度分布に観測されるITBが劣化する場合には、長距離相関が増加することを明らかにした。本研究により径方向相関長を評価することが可能になったので、乱流スペクトルの変化でイオン熱輸送の増加が説明できるかどうか、研究を発展させることが可能になった。
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