研究課題
Baccillus thuringiensis(以下Bt)が生産する結晶性毒素タンパク質は特定の昆虫のみに殺虫活性を示すが、人畜や環境に影響を与えないため、主に有害昆虫を駆除するための環境に安全な生物農薬素材として、基礎から実用化に向けて多くの研究が進められてきている。ところが近年、本研究室では殺虫活性は示さないが、特定の哺乳動物細胞を選択的に認識・破壊するBt毒素タンパク質(パラスポリン2)を同定し、その遺伝子クローニングに成功した。本研究ではこの毒素タンパク質の細胞認識に対する細胞認識と細胞死のメカニズムを明らかにし、医薬学、生体工学応用への基礎とする。本年度は毒素の標的細胞への破壊機構と細胞受容体の同定、および構造機能相関の解明を目標に以下のような研究成果を得た。1)細胞膜に存在ずるGPIアンカー型タンパク質が細胞毒性に深く関与していることを明らかにした。またこのタンパク質の発現量とパラスポリン2の細胞障害性に相関があることが示唆された。2)パラスポリン2結合タンパク質(受容体の侯補)として約27kDaの毒素結合タンパク質を発見した。3)パラスポリン2が生体膜中で600kDa以上の大きな毒素複合体を形成していることを見出した。
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Journal of Bacteriology. 189
ページ: 844-850
Journal of Biological. Chemistry 281
ページ: 26350-26360