糸状菌F.oxysportumのniaD変異株の脱窒能の低下、これniaDを導入することによる脱窒能の回復から、niaDが硝酸の同化だけでなく脱窒に寄与する可能性を見出した。さらに、NiaD、P450nor両遺伝子のプロモーター領域にβ-galactosidase(β-gal)遺伝子を連結したレポーター解析を行い、嫌気的な脱窒条件下の細胞内β-gal 括性が好気条件下のものと比較して数倍上昇することを見出し、これらの遺伝子の発現が転写レベルで調節されることを解明した。酵素活性の発現の上昇も脱窒による亜酸化窒素の生成と相関しており、NiaDが脱窒に寄与している可能性が示された。 一方、NADH依存的にS^oをH_2Sに還元するSRの活性がミトコンドリア画分および細胞質画分に見出されることを示した。その活性は呼吸鎖電子伝達系の阻害剤に感受性であった。また、ミトコンドリア画分内にNADHとS^<o>に依存したATP生成活性が見出され、呼吸差阻害剤の添加によってSR活牲とともにこのATP生成活性が阻害された。これらの結果から、SR活性が呼吸鎖電子伝達系を介しだATPの生産に寄与(硫黄呼吸)すると考えられた。 Aspergillus nidulansにA.nidulansの染色体DNAライブラリーを導入し、亜硝酸耐性の表現型を賦与する遺伝子AN0121を取得することに成功した。亜硝酸を添加した培地を用い七野生型株とANO121導入株を培養したところ、前者の菌糸は分岐の多い異常な形態を示したが、後者の菌糸は正常であった。また、同じ培地を用いた場合、前者に比べ、後者の分生子の発芽率は高く菌糸の生長が速かった。これらの結果から、AN0121は、亜硝酸が菌糸の正常な生長や胞子の発芽に与える傷害を防ぐ機能を持つことが明らかとなった。AN0121は、ヘムの生合成に関わるポルホビリノーゲンデアミナーゼをコードする遺伝子に対応することから、細胞内のヘム濃度の上昇と亜硝酸耐性の関与が初めて明らかとなった。
|