Pkc1新規機能の解析: pkc1変異を抑圧する多コピーサプレッサー遺伝子の取得と解析: scz6/pkc1変異は、プロテインキナーゼC(Pkc1p)における変異であった。出芽酵母Pkc1pは、Mpk1p MAPキナーゼカスケードの活性化を通し、細胞壁合成活i生化に必要なことが良く知られる。これ以外にも増殖に必須な機能をもつことが示唆されていたが、その実体は殆ど明らかでなかった。今回、scz6変異株を用いた解析から、この変異株ではMpk1p MAPキナーゼカスケードの活性化は正常であったが、G1期サイクリンCln1p/2pのタンパク質発現維持に欠損を持ち、その結果、Fアクチンの芽への局在化維持が出来ないことを発見した。そこで、scz6変異株が温度感受性を示すことを利用し、遺伝子量増加により増殖回復する多コピーサプレッサー遺伝子の取得を行った。その結果、PKC1の他にYAK1など、cAMP経路を阻害する因子が取得された。このことから、Aキナーゼ経路とCキナーゼによる増殖に対して拮抗制御が作動していることを見出したので、この機構を解析中である。 Ca^<2+>シグナルによる増殖制御解析: scz5およびscz18変異による遺伝子発現とCa^<2+>シグナルの関係: Ca^<2+>シグナルによる増殖制御の制御系を明らかにすべく、本経路に欠損の生じた変異株を取得し、解析を行った。scz5変異の原因遺伝子は、RNAポリメーラーゼIIのポロ酵素の遺伝子SSN2、scz18変異の原因遺伝子は、テロメア末端付近の遺伝子の転写を抑制するSIR3であった。解析の結果、Ssn2は、SWE1およびSLN2のベイサルレベルでの転写に重要であることがわかった。さらに、SIR3は、Swe1ではなくCln2の発現に重要であった。
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