近年、甘味・旨味や苦味といった味物質を受容する味覚受容体分子の存在が明らかとなり、味覚組織に発現する多くのGタンパク質共役型受容体が同定された。各受容体に対するリガンドについては多くについて不明であり、リガンド認識に関与する受容体側アミノ酸残基の特定という点においてはほとんど行われていない。 本研究課題においては味覚受容体の受容機構の更なる理解のため、受容体の構造機能連関解析を基盤としてその機構を明らかにしようという目的で実施するものである。多種の脊椎動物由来味覚受容体候補遺伝子の機能解析を網羅的に行うことによりリガンド同定を行い、次いで同一リガンドを認識する受容体間におけるアミノ酸配列の共通性を基本に利用した構造機能連関解析を行っていく。 哺乳類以外の脊椎動物のデーターベースより、哺乳類由来味覚受容体(T1R・T2Rファミリー)と相同性を持つ配列の検索を行った後、相同性が高いものを味覚受容体候補分子と定義し、PCRによりコード領域全長を取得した。培養細胞発現系を用いて獲得した味覚受容体候補分子を発現させ、哺乳類において呈味物質となる物質を投与した際に応答が見られるかどうかのスクリーニングを行った。現在、幾つかの味覚受容体候補分子において、アミノ酸や苦味物質(デナトニウム)に応答する受容体を見出すことに成功している。今後、濃度一応答曲線の作製・他の物質への応答の有無について、検証を行っていく。(604字)
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