研究概要 |
1,ヒドロキシ桂皮酸類調製方法の確立 ヒドロキシベンズアルデヒド類と酢酸または無水酢酸とを塩基存在下で反応させ,収率良くトランス型のヒドロキシ桂皮酸類が得られる反応条件を検討した。その結果,3,4-ヒドロキシ桂皮酸合成において,水酸基無保護およびアシル基で保護したプロトカテク酸と無水酢酸との反応では目的物を得ることができなかった。現在,メトキシ基で水酸基を保護したプロトカテク酸を用いて合成を検討中である。本年度はベンズアルデヒドにアセチルクロライド-1-^<13>Cおよび酢酸ナトリウム-1-^<13>Cを加えて加熱することによって置換度96%の桂皮酸-1-^<13>Cを16g得た。 2,重水素置換フェノール性化合物調製の検討 4-ヒドロキシ桂皮酸,フェルラ酸,シナピン酸,コーヒー酸,没食子酸を簡易に重水素置換する方法を検討した結果重水素置換度94%の没食子酸を一度に数g程度得る方法を開発することができた。4-ヒドロキシ桂皮酸,フェルラ酸,シナピン酸,コーヒー酸は,溶解度が低く,加熱によって容易に化学変化するため効率の良い重水素置換を行うことはできなかった。 3,フェノール性化合物の生体内分析方法の検討 ベンゼンとベンゼン-d6はODSカラムを用いた逆相HPLC分析で分離されたが,桂皮酸-1-^<13>Cおよび重水素置換没食子酸は未標識の化合物とは分離されず,これらの安定同位体標識化合物を利用して未標識化合物と同様の生体内挙動解析ができると考えられた。 ラットに桂皮酸を経口投与し3時間後に採取した血液の血漿および腸内容物抽出物を,ODSカラムを用いた逆相HPLC, LC-MS分析を行った。その結果,血漿および腸内容物抽出物は,化学修飾シリカゲルを用いた固層抽出でフェノール性成分を濃縮することで効果的に分析することができるようになり,投与した桂皮酸および桂皮酸代謝物を検出,定量することが可能であった。
|