研究概要 |
この研究の主な目的は,リモートセンシングデータから山岳生態系の生態系プロセスを解明するために,生物物理学的,生理学的パラメータを推定し,同時に長期モニタリング手法を確立することである。 18年度に続き,生物物理学的パラメータを予測するため現地調査を重点的に行った。試験地は新潟県苗場山の標高550m,900m(X1,X5),1500mの4タワーサイトである。各試験地に設置されている観測用鉄塔を利用し,樹冠最上部の葉を測定対象とした。分光反射特性を利用した個葉レベルの光合成能力,水分生理特性の推定と,樹冠レベルへのスケールアップモデルのパラメータを得ることを目的として,分光反射特性,光合成特性,形態的特性などの季節変化を測定した。測定間隔は,生育初期と落葉期は週に1度,成熟期は1ヶ月に1度とした。LAIの測定も同頻度で行い,MODIS Products(MOD15A2)の有効性の検証を行った。また,葉の水分生理特性に関連する分光反射指数を調べることを目的として,成熟期に2日間,樹冠最上部における光合成,水分生理特性と分光反射特性の日変化を測定した。今年度購入した2007年の衛星画像はALOS(8/12)である。購入した衛星画像は大気補正・地形効果補正を行い,LAIなどのマッピングを行った。また,試験地の航空写真(2006年撮影)を購入した。MODIS LAI Products(MOD15A2)を山岳生態系においたの精度を検証した。 今年度の研究成果として,V_(cmax)の季節変化(Tree Physiology),タワーベースの分光反射指数との関連(Geophysical Research Letters),衛星NDVIとV_(cmax)の相関(International Journal of Remote Sensing)それぞれを国際雑誌に発表された。さらに,水分生理特性を表現する分光指標と,分光反射率を用いた光合成能力(P_(max))推定法について,第119回日本森林学会にて発表した。
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