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2007 年度 実績報告書

細胞構造をマイクロリアクターとして利用した、木材熱分解ガスの気相成長炭素材料化

研究課題

研究課題/領域番号 18688008
研究機関東京大学

研究代表者

斎藤 幸恵  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (30301120)

キーワード化学加工 / カーボン材料
研究概要

本研究の構想は、木材の炭化過程で発生するガスに含まれる炭素を、細胞内腔で固体として沈着させ、高い構造規則性をもつ炭素材料を創製するものである。木材細胞が、その際に不可欠な装置として働く、即ち1)原料ガスの発生源として、2)内腔に炭素ガスを蓄え過飽和状態に至らしめ沈着させるための、マイクロリアクタとして、二重の役割を担うのではないかと考えた。
具体的には、1)木材の炭化過程におけるガス発生のプロセス、2)マイクロリアクタとしての機能発現に求められる細胞の特性、の2つを明らかにすることを目的とした。最終的には、1)炭素を沈着させる基材の種類、2)ガス化触媒の種類、3)マイクロリアクタ機能に合致した処理温度プログラム、の3者を組み合わせることで、発生ガスの成分・量・沈着過程を制御して、気相成長物質の炭素構造・形状・サイズ・収率を自在に設計できるようになることをめざす。
本年度は引き続き、細胞構造がマイクロリアクタとしてどのように機能しているのかを明らかにした。付随した応用展開として,原料に粉炭を用いたところ、容器としての細胞構造を破壊することは一見逆説的だが、細胞外部に露出したウイスカが得られた。粉炭由来のウイスカには従来法の10倍近いサイズのものが含まれてサイズのばらつきが大きく、粉炭貯留した原料ガスの濃度の不均一さが示された。つまり細胞構造はガス濃度を均一にする役割を持つ。粉炭由来のウイスカは、(1)サイズが大きい、(2)細胞壁に囲まれておらず露出している、点で、測定に有利であった。ウイスカ偏光顕微鏡観察から、表面にウイスカ軸に垂直な方向の周期構造が見出された。電子顕微鏡観察と合わせ、ウイスカ表面の、カーボンナノチューブを巻きつけたような構造(Nanoterminated surface stracture;NTSS)が明らかとなった。NTSSの溝を利用したガス吸着、エピタクシアル成長による表面修飾など、NTSSを利用した表面加工への展開の可能性が考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Features of vapor-grown cone-shaped graphitic whiskers deposited in the cavities of wood cells2007

    • 著者名/発表者名
      Yukie Saito, Takanori Arima
    • 雑誌名

      Carbon 45

      ページ: 248-255

    • 査読あり
  • [学会発表] 木材粉炭からの円錐黒鉛ウイスカ生成とその表面構造に由来する特性2008

    • 著者名/発表者名
      斎藤幸恵、有馬孝禮
    • 学会等名
      第58回日本木材学会大会
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20080317-19
  • [学会発表] Vapor phase carbonization in a wood cell functioning as a microreactor2007

    • 著者名/発表者名
      Yukie Saito, Takanori Arima
    • 学会等名
      2nd International Cellulose Conference, 2007: ICC2007
    • 発表場所
      日本、船堀
    • 年月日
      20071022-25
  • [備考]

    • URL

      http://www-db.ccr.u-tokyo.ac.jp/ccr_usr/data/4401.html

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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