研究概要 |
沿岸農地に整備された農業水利施設は,水災害時には排水機能を担うため,それらの維持.管理は重要である.本研究では,水災害を対象とした農地の防災対策の計画を支援することを目的とした「水災害リスク予測モデル」を開発するため,湛水被害,塩害,水利施設の破損および土砂流入の4種類の被害を推定するモデルを19年度までに構築した.20年度は,上記のモデルのブラッシュアップを行うとともに,有明海の主要干拓地を対象に,高潮が生じた場合の農業生産基盤への影響を評価した. 有明海および八代海の旧国営干拓地を中心に,氾濫解析モデルのデータを作成した.氾濫解析においては,地形標高の精度が解析結果に大きく影響を与えるため,本研究では,1級河川周辺域の航空レーザー測量データを入手し,標高データを作成した.これにより,0.01m精度の標高データを作成することができ,通常入手可能な国土地理院発行の50mメッシュ標高値(標高精度1m)を用いる場合と比較して大幅に地形標高データの精度を向上させることができた.また,完成された解析モデルは空間分解能が高く,計算負荷が大きくなるため,PCクラスタを構築するとともに, MPIによる並列計算を行えるようプログラムを改良した.本研究により,有明海および八代海の主要な沿岸農地においで水災害による被害リスクを評価できるモデルとデータセットが完成した.
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