研究概要 |
初年度目は含窒素生物活性化合物の効率的合成を達成する為の基盤となる不斉反応、及び多段階促進型触媒反応系の開発を中心に研究を行い、具体的には以下の3つの点に関して進展があった。 1、Pd-DIAPHOX触媒系を用いるニトロメタンを求核剤とするアリル位置換反応の開発に成功し、生物活性物質バクロフェン、プレクラモールの触媒的不斉合成に成功した。また、Pd-DIAPHOS触媒系を用いるアリル位アミノ化反応の応用として、現在の有機合成反応を用いて容易に合成する事が困難な、アザ-森田-ベイリス-ヒルマン型生成物の触媒的不斉合成法の開発に成功した。本反応の生成物は様々なキラルアミン化合物へと誘導が可能であり、今後本反応をベースとして天然物、生物活性化合物の触媒的不斉合成を今後行なう。 2、Ir-DIAPHOX触媒系を用いアリル位アミノ化反応の開発に成功した。さらに、Ir-DIAPHOX触媒系を用いるアリル位アルキル化反応にも成功しており、現在抗うつ病薬パロキセチンの触媒的不斉合成への応用を検討している。 3、pD触媒,チアゾリウム塩触媒を用いる多段階促進型触媒反応系を用いるジヒドロキノリノンのワンポット触媒的合成法の開発に成功した。本法の開発の途上で、チアゾリウム塩触媒を利用する分子内ステッター反応において、金属の酢酸塩の添加が反応性を大幅に促進させる事を利用する分子内ステッター反応において、金属の酢酸塩の添加が反応性を大幅に促進させる事を見出した。本結果は、チアゾリウム塩を触媒とするステッター反応における全く新しい知見であり、今後は本知見を元に新規触媒系の開発に向け検討を行なう。
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