ホルモン分泌顆粒の輸送を司る低分子量G蛋白質Rabファミリーは、ホルモン分泌顆粒の細胞膜方向への輸送、細胞膜へのドッキング、融合の「センサー」として機能すると推測されている。60種類存在するRabファミリーのうち、Rab27AとRab27A結合蛋白質であるシナプトタグミン様蛋白質ファミリー(synaptotagmin like protein : Slp)がホルモン分泌顆粒輸送制御分子として同定された。しかし、Slpファミリーがホルモン分泌をどのように制御しているのかについては、不明である。そこで緑色蛍光蛋白質結合Slpファミリーをホルモン分泌のモデル細胞である副腎髄質クロマフィン細胞由来PC12細胞に過剰発現させ、開口放出反応及び、ホルモン分泌顆粒の細胞膜とのドッキングへの影響を全反射蛍光顕微鏡により可視化解析した。その結果、すべてのSlpファミリーがホルモン分泌顆粒膜上に局在し、特にSlp3-a及びSlp5が開口放出反応を促進した。一方、Slp4-aは、ホルモン分泌顆粒の細胞膜とのドッキング過程を促進するにも関わらず、開口放出反応数を抑制した。そこで、このSlp4-aの機能について詳細な解析を行った。その結果、ホルモン分泌顆粒膜上のRab27AにSlp4-aのRab結合領域が結合し、Slp4-aのlinker領域に細胞質内のMunc18-1が結合し、さらにMunc18-1が細胞膜上のsyntaxin-1aと結合することによって形成される蛋白質複合体により、ホルモン分泌顆粒を細胞膜上につなぎとめ、開口放出を抑制することを見出した。
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