研究課題
研究目的 : 免疫グロブリン様受容体PIR(Paired Immunoglobulin-like Receptor)による感染炎症の制御機構を明らかにする。免疫グロブリン様受容体PIRはFcRγ鎖などITAM(Immunoreceptor tyrosine-based activation motif)配列を有する膜アダプター分子と会合して細胞に活性化のシグナルを伝達する活性化型PIR-Aと、ITIM(Immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)配列を有し細胞内に抑制性のシグナルを伝達する抑制型PIR-Bからなるレセプターペアーである。申請者らの最近の成果により、骨髄球系細胞は、PIR-Bを介して標的細胞のみならず自己細胞上のMHCクラス1分子を認識し(cis-interaction)、細胞活性を制御していることが判明した。すなわち、細胞自身が、PIR-Bを介して恒常的に抑制シグナルを導入することで、自身の活性化閾値を制御していると考えられる。そこで本研究では、代表的な感染症である(1)細菌感染症と(2)ウィルス感染症の2つにおいてPIRの、特にPIR-Bによる炎症反応の抑制機構について検討する。実験3 : PIR-B遺伝子欠損マウスにおけるサイトメガロウィルス感染実験-DC上におけるPIR-A/Bの機能解析実験4 : PIRによる感染症の制御-過剰炎症を制御するFRET法によりDc上においてPIR-BがMHCクラスI分子とcis結合していることが確認できた。さらにCD8T細胞との相互作用において、PIR-BがCD8分子と競合阻害していることを見いだした。そこでリコンビナントによるPIR-Bの制御を試みた。しかしながら、今回作製したリコンビナントPIR-Bタンパクによる阻害作用は認められず、今後の検討課題となった。上記の成果は米国科学アカデミー紀要であるPNASに掲載された。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
European Journal of Immunology 38
ページ: 2426-2437
Journal of Immunology 181
ページ: 4742-4751
Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America 105
ページ: 14515-14520