研究課題
副甲状腺細胞のvitamin D receptor(VDR)およびCa-sensing receptor(CaSR)が著明に減少している進行した二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)のモデル動物に対し、VDRおよびCaSR遺伝子導入の副甲状腺細胞における効果とapoptosis誘導について検討した。部分腎摘出術後、高リン(P)・低Ca食で8週間飼育したSDラットに対し、外科的に副甲状腺を剥離し、顕微鏡下にてVDR・CaSR・LacZを導入したアデノウィルスを副甲状腺内に直接注入した。24時間後に副甲状腺を摘出し、免疫組織学的VDRおよびCaSR染色、TUNEL染色、DNA電気泳動、電子顕微鏡による形態学的評価をした。注入前および副甲状腺摘出直前の血清Ca・P・intact-PTH値の変化を各遺伝子導入間で比較した。VDR遺伝子導入された副甲状腺では、VDR陽性副甲状腺細胞数がその他の遺伝子を導入された副甲状腺と比較して、有意に高値であった。CaSR遺伝子導入についても同様であった。また、VDRおよびCaSR遺伝子導入された副甲状腺では、LacZ遺伝子を導入した副甲状腺と比較してTUNEL陽性副甲状腺細胞数が有意に高値であり、DNA電気泳動および電子顕微鏡的に副甲状腺細胞のapoptosis誘導が確認された。さらに同一ラットに対し、一側ずつの異なる遺伝子を導入することにより、同様の結果を確認した。血清intact-PTH値はVDRおよびCaSR遺伝子を導入後、有意に低下した。アデノウィルスによるVDRおよびCaSR遺伝子導入は、副甲状腺細胞にこれらの蛋白を発現させ、vitamin DやCaに対する感受性の改善によるPTHの低下や副甲状腺細胞のapoptosisを誘導することが示唆された。
すべて 2006
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