花粉症は花粉によってい引き起こされるアレルギー症状で、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎や目のかゆみ、流涙などのアレルギー性結膜炎が見られる。本研究では、花粉症のアレルゲン(主としてスギ花粉)に対する生体の免疫応答をペプチドレベルで解析し、病態の予後予測可能性について検討するとともにペプチドによる減感作療法にむけた基礎的研究を行うことを目的とした。 まず、スギ花粉(Sugi Basic Protein)とその精製蛋白質Cry j 1及びCry j 2に対する抗体をスギ花粉患者及び健常者血清において検討した。それぞれの抗原に対するIgE抗体は患者が有意に高い傾向を示しRAST法による結果と相関した。IgAやIgGなどにっいては、必ずしも患者で高値を示すということではなく、健常者でも高値を示すものもあった。また、臨床症状と抗体の相関について検討した結果、IgEとIgAの比をとることが臨床症状と相関することを見出した。 Cry j 1及びCry j 2についてアミノ酸15残基ごとのオーバーラップペプチドを合成し、それぞれに対する抗体を調べた結果、花粉症患者と健常者において挙動の異なる配列が存在することを見出した。HLA-Class I分子(主としてHLA-A2及びA24)に拘束性を有するペプチドについて、同様の検討を行ったが、抗体は検出されなかった。 以上の結果から、花粉症患者と健常者において血液中の抗体の免疫バランスが異なること、また、抗体の挙動の異なるアミノ酸配列が存在することが示唆された。
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