研究概要 |
各細胞種でのジストログリカンの発現を確認するため、線維芽細胞,グリア細胞,神経細胞(小脳顆粒細胞)を分離培養して免疫染色およびウェスタンブロットによる検討を行った。 α-ジストログリガンの糖鎖を認識するVIA4-1,IIH6抗体,またペプチド部分に対するcranin抗体のいずれも各細胞種で胞体に染色性を示し、α-ジストログリカンがグリア細胞だけではなく神経細胞(これから遊走を開始する小脳外顆粒細胞)にも存在することが裏付けられた。線維芽細胞におけるは予想外であったがVIA4-1およびfukutinによる色性が山型筋ジストロフィー患者からの線維芽細胞で低下しており、この細胞種でも糖鎖修飾を受けたジストログリカンが存在している可能性が示唆された。 ウエスタンブロットでこれらに対応する所見(各細胞種におけるジストログリカンの存在および細胞種間の分子量=糖鎖付加形式の差異)を確認するため、糖鎖ではなくα-ジストログリカンのペプチドに対する抗体(市販のcranin抗体)を試みた.しかし、この抗体ではマウスの筋および脳組織に関して信頼できる結果が得られなかった。このため、独自にペプチド抗体を作製した。この抗体の信頼性を筋や脳組織に対するウェスタンブロットで検討中である。 また、福山型筋ジストロフィーに類似した脳奇形を有しながら筋症状を欠く複数の症例に出会ったことから、これらの方の病態について遺伝子検査を開始した。
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