研究課題
皮膚における部位特異性という独創的な観点から多数の研究成果を揚げた。成人における上皮間葉系相互作用の部位特異性に関する研究では、メラノサイトに焦点を向け著書を出版した(Humana Press社)。またメラノサイトに及ぼすDickkopf1(DKK1)の影響をマイクロアレイによる解析を含めた分子生物学的手法を用いて更に詳しく調べ論文発表した(J Invest Dermatol 127 in press)。掌蹟真皮線維芽細胞にて発現増強しているDKK1がメラノサイトの分化・増殖を抑制する機序の更なる解明につながった。更にメラノサイトも腺細胞や表皮角化細胞と同様に極性を有することを解明した(J Cell Sci 119など)。またメラノサイトの受容体として最も有名なMelanocortin 1 receptorのアイソフォームに関する報告もし、黒人は白人より多く発現していることを証明した(FASEB J 20(11))。部位特異性からの病態解明から派生した悪性黒色腫に関する研究として、CapGがメチレーションを介してどのように黒色腫株を抑制するかの研究に加わった(Oncogene 25)。また皮膚癌発症にも部位特異性があり、露光部に多く紫外線の影響を多分に受けているものが多い。人種間の皮膚癌発生頻度の差を比較検討することから、新しい皮膚癌発症機序として、紫外線によるアポトーシス(細胞死)が白人ではうまく誘導できない可能性が高いことを証明した(FASEB J 20(9))。またこの機序にはCaspase 3は関与しないがp53は関与することを示し、総説も執筆した(J Dermatol Sci in press)。またAPE/Ref-1がこの機序に関連することも示した(J Invest Dermatol 126)。このような一連のヒト皮膚に関する色調を司る因子(紫外線や部位特異的なサイトカインの発現様式)についての総説執筆にも参加した(Pigement Cell Res 20)。また最後に部位特異性を応用した難治性潰瘍治療法開発から派生した研究が実際の臨床でも活かされ、数々の潰瘍治療に役立った(Arch Dermatol in press)。DKK1が表皮細胞に与える影響について投稿中であり、更に多数の研究成果を来年度も揚げる事ができればと努力している。
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