ポンプ構造の改良を行うとともにその性能評価を行った。 ポンプ構造としては波動型ポンプと螺旋流ポンプとの二つのタイプのポンプについて検討を行った。螺旋流ポンプは回転式ポンプであるにもかかわらず、小型で拍動流駆出が可能なポンプである。螺旋流ポンプは波動型ポンプと比較して、駆動が回転のみであるため動的バランスの調整が容易に行える・ピボット部への加重変動が少ない・回転力の伝達が容易に行える等の特徴をもつことが判明した。 この結果を受け、羽根の枚数やクリアランスを変えた螺旋流ポンプを作製し性能を調べることで、螺旋流ポンプの改良を施した。現在までに、1.羽根の枚数に関しては最適点が存在していること、2.波動型ポンプほどではないが他の回転式ポンプと比較してクリアランスの影響が大きいこと、が判明した。また、マグネットカップリングについても、ネオジウム磁石を用いたマグネットカップリングを作製して性能を調べることで改良を行った。作製したマグネットカップリングを用いてポンプを駆動させたところ、高出力時や負荷が急激に変動した際にも脱調することなく、回転力の伝達が行えることが判明した。 またポンプの溶血性能試験を行ったところ、現在までに市販のポンプと比較するとやや低い性能となっていることが判明した。これは市販のポンプは成人を対象としているのに対して、作製したポンプは小児を対象としているため、ポンプの最適動作点が大きく異なっていることに起因すると考えられる。この問題点は見かけ上だけの問題点であり、実際の使用条件に合わせて駆動させることで改善できると考えられる。
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