研究概要 |
平成19年度は,マイクロベッセル観察システムを用いてラット頸髄内の微小血管を観察し,アセチルコリンによる血管弛緩反応に各種麻酔薬がどのように影響するかを検討した。 1)ハロセン麻酔下にウィスターラットを開胸し,左心室から人工脳脊髄液を潅流させながら右心房を切開脱血し,迅速に頚部脊髄を摘出した。4℃人工脳脊髄液中でビブラトームを用いて厚さ約125μmの脊髄スライス標本を作成した。この標本を観察用チャンバーに入れ,倒立顕微鏡にて脊髄実質内の微小血管を観察した。血管平滑筋が壁在する内径3-10μmの微小血管を観察した。これらの血管はその径から毛細血管直前の抵抗血管であることが推測された。 2)前年度実験結果より,アセチルコリンは濃度依存性に脊髄内微小血管を拡張させることが明らかになった。揮発性麻酔薬イソフルラン,セボフルラン(0.5-2.0MAC)を通気ガスに付加,あるいは静脈麻酔薬プロポフォール(0.1-10μM),ケタミン(0.1-10μM)を投与して,アセチルコリンによる血管拡張反応を観察した。現在,得られた結果をもとに,データを解析しており,大脳実質内微小細動脈との違いを検討中である。脊髄分節間および同分節内の前後部位による血管反応性の違いについても実験を開始しているが,結果はまだ得られていない。
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