前年度に引き続き、ゼブラフィッシュ視細胞変異体ovlを用いた解析により、フォトトランスダクション経路のロドプシン、トランスデューシンの発現をモルフォリノにより抑制すると、視細胞死も抑制されるのに対し、フォスフォジエステラーゼを抑制しても、視細胞死は抑制されなかった。したがって、この経路における視細胞死のシグナルはトランデューシンの位置でフォトトランスダクションの経路に結合していると考えられた。また、これらの解析にはovlヘテロ接合体(キャリアー)に固定されたゼブラフィッシュロドプシン(RH1)プロモーターでドライブされたグリーンフルオレセンスプロテイン(GFP)のトランスジェニックフィッシュ(RH1::GFP)を用い、視細胞が容易に可視化されるようにした。これにより、変異視細胞をFACSにて単離することが可能となり、実際に条件を検討して単離を得たため、現在下流のシグナルについて検討している。 つぎに、フォトレセプターのラインでの強制発現系を得るため、国立遺伝研究所川上研究所からメダカトランスポゾンベースのtol2ベクターを供与いただいた。トランスジェニック体を容易に選択できるよう、まず、臭細胞特異的遺伝子であるompのプロモーター領域3kbpを単離、EGFPとっなげ、マーカー遺伝子としてto12ベクターに導入した。次に、RHlプロモーターを発現カセットとしてもち、さらに、挿入遺伝子部にGatewayシステムのカセットをもつベクターを開発し、これにヒト変異ロドプシン(Q344X)を導入し、受精卵に微少注入しGO体を得、これを交配、鼻に蛍光を認めるFl体をRT-PCR解析したところ、ヒトロドプシンの発現を認めた。
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