研究概要 |
本研究では,「口腔粘膜に加わる非生理的ストレスが外来刺激として粘膜の細胞のサイトカイン・増殖因子の産生を促し,二次的に歯槽骨の吸収に影響を及ぼしている」とめ仮説の検討を目的としている。これにあたり,本年度はカスタムメイドの細胞圧縮装置を開発・実用化した。この装置では,細胞培養プレー,トを内包する密閉チャンバー内に,ガス混合装置で5%に調整されたCO_2をコンプレッサーユニットにより送り込み,チャンバー内圧を上げることにより培養液を介して培養細胞に圧力をかけることが可能である。また,このチャンバー内にデジタル圧力センサーを取り付け,設定圧(〜50 kPa(0.5kg/cm^2))に達すると,この状態を設定時間維持し,その後脱気することで内圧を外気圧にまで下げ,反復的に圧縮力を付加できるように設計した。この装置を用いて,患者口腔粘膜より分離培養したヒト歯肉線維芽細胞に圧縮不可を与えた結果,20kPa以上の反復圧縮により細胞はダメージを受け,細胞傷害が生じることがわかった。現在,この細胞傷害が生じる条件を用いて,細胞が発現する因子をスクリーニングしており,次年度に引き続き検討する予定である。また,今後メカニカルストレスを与える細胞として,骨系分化能を有する・ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)を予定しているが,この細胞が骨芽細胞系に分化する過程での細胞外基質の発現をカスタムメイドのcDNAマイクロアレイを用いて検討した。その結果hMSCの骨芽細胞系分化過程では,骨芽細胞系以外の多数の細胞外基質関連遺伝子の発現が抑制されることが明らかとなった(Tissue Engineering, 13:2589-2600.2007)。
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