研究概要 |
平成18年度はTRAF1の破骨細胞における詳細な解析を研究協力者とともに行った,TRAF1の破骨細胞における機能解析は,野生型マウスとTRAF1ノックアウトマウスの骨髄由来細胞を用いて行った.MCSFとRANKL存在下で培養した骨髄由来細胞における,TRAPおよびCathepsin K遺伝子の発現をRT-PCRで,TRAP陽性多核巨細胞数はTRAP染色で検討した.MCSF(5ng/ml)と可溶性RAMKL(10ng/ml)存在下で培養したTRAF1ノックアウトマウス骨髄由来細胞におけるTRAPおよびCathepsin K遺伝子の発現量およびTRAP陽性多核巨細胞出現数は,同条件下の野生型マウスの細胞と比較して有意に高かった.同様にRAW264.7細胞(マウス破骨細胞セルライン)に対してTRAF1 RNAiを行った場合は,可溶性RANKLに依存したTRAP陽性多核巨細胞への分化促進が認められた.以上の得られた結果より,TRAF1遺伝子は破骨細胞の分化過程において,RANKL-RANK-TRAF6からのシグナルをTRAF6とは反対に,負に制御することによって顎堤骨等の骨吸収の調節に深く関与している事が明らかとなった.平成19年度は,さらにTRAF1遺伝子の調節因子やTRAF1の発現や活性を促進する物質の探究を実験計画に従って継続して行う予定である.
|