研究概要 |
本年度は,平成18年度の結果をもとに破骨細胞におけるTRAF1の発現または活性をマーカーとして,破骨細胞の分化を抑制する物質の探究を行った.可溶性のRANKL存在下で培養したRAW264.7細胞(マウス破骨細胞セルライン)にシグナル伝達物質や膜上タンパクに対する様々な既存の阻害物質を添加し,TRAF1の発現パターンを解析した.平成18年度の本研究結果から導き出された,"TRAF1は破骨細胞の分化を負に調節する因子"であることを利用して,RAW264.7細胞においてRANKLによるTRAF1の発現をより増強した阻害物質を予備実験で取り上げた.取り上げられた阻害卿質が破骨細胞の分化に与える影響についてreal time PCRやTRAP染色などを用いてさらに詳細に検討した.その結果,Na+/K+ATPaseに対する阻害剤は,可溶性RANKLによってRAW264.7細胞がTRAP陽性多核巨細胞へと分化することを抑制した.以上よNa+/K+ATPaseの阻害剤は,破骨細胞の分化を抑制することが明らかとなり,その抑制にはTRAF1遺伝子の発現増強が深く関与していることが示唆された.平成20年度は,Na+/K+ATPaseの阻害剤がTRAF1遺伝子の発現を促進し,破骨細胞の分化を抑制するメカニズムについてさらに検討を加え,Na+/K+ATPaseの阻害剤を利用した顎堤骨吸収抑制方法を検討する.
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