研究課題
1)DNMLによる核小体ゲノム構造の変化について様々なヒストンテイル修飾抗体を用いてChromatin IP法を行ったところ、NMLはrDNA領域のヒストンH3K9ジメチル化修飾に特異的に結合することが明らかとなった。さらに、NMLのN末端領域にヒストンテイルが相互作用することが判明した。どのように、NMLが化学修飾特異的なヒストンテイルを認識しているのかについて、構造解析を用いて進めている。2)NML相互作用因子との機能解析NMLはSIRT1やSUV39H1と核小体で相互作用し、リボソーム合成を調節してATP消費系を制御していることを明らかにした。さらに、NMLはDNAメチル化酵素であるDnmt3bとも相互作用していることが明らかとなった。また、Dnmt3bはNMLタンパクの安定性に関与することが示唆された。一方で、癌細胞でのNML発現抑制株とNML過剰発現株では、足場依存的増殖に有意な変化があり、NMLの量が多いほど癌細胞の増殖が抑制されていることが判明した。癌細胞ではDnmt3bの発現量の増加が認められることから、癌細胞でのNMLとDnmt3bそして核小体との関係について解析を進めている。3)NMLの核小体外部での機能解析NML発現抑制株とNML過剰発現株を用いて、DNAマイクロアレイで発現量に差のある遺伝子をスクリーニングした。その結果、細胞周期や代謝に関わる遺伝子群に発現量の違いが認められた。実際にRT-qPCRでの確認、また、NMLが直接遺伝子発現量に変化を及ぼしているかを確認するため、クロマチン免疫沈降法を行っている。4)NML遺伝子欠損マウスの作製とNMLトランスジェニックマウスの作製NMLトランスジェニックマウスが完成したため、このマウスの解析を始めた。ガン化との関連や、ガン細胞のエネルギー代謝の変化、表現系の違いなどを明らかにしていく。
すべて 2008
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Cell 133
ページ: 627-639