研究概要 |
我々は腰椎椎間板ヘルニアの疾患感受性遺伝子の同定を行い,CILP I395Tに高い相関があることを見出した.そこで我々はCILP遺伝子のトランスジェニックマウスを作成しその表現型を解析することでin vivoでのCILP遺伝子の機能を解明し,椎間板ヘルニアの発症メカニズムを解明しようと考えている. CILPトランスジェニックマウス用のベクターは,軟骨特異的発現ベクターpNASSβ(COL11A2 promoter, IVS1)にCILP遺伝子を導入し,ベクターを作成した.作成したトランスジェニックマウス用vector 3種類の内訳は(742mCILPInt(CILP遺伝子の上流にCol11a2 promoter - 742〜0,下流にCol11a2 IVS1を組み込んだベクター),453mCILPInt(CILP遺伝子の上流にCol11a2 promoter - 453〜0,下流にCol11a2 IVS1を組み込んだベクター),742mCILP(CILP遺伝子の上流にCol11a2 promoter - 742〜0のみを組み込んだベクターで,下流にIVS1はない))である.まずベクターに挿入されているLacZ遺伝子をNot I (Takara) siteで切り出し,そのサイトにマウスCILP遺伝子全長を組み込んだ.またベクターのsequenceはBigDye Terminator v3.1(ABI PRISM)を用い,ABI PRISM 3100 sequence ditectorにて解析を行った.今回さらに我々はCILP遺伝子の下流にHA tag(influenza virus hemagglutinin)を組み込んだ. このCILP遺伝子全長を組み込んだベクターを,マウスから採卵し,マイクロインジェクションによりこの遺伝子を導入した(日本SLCにて試行).遺伝子が導入されたかどうかの確認はPCRにて試行した.PCRで遺伝子の導入が確認できたマウスのmRNAレベルの発現量の確認のために,尻尾より骨軟骨組織を一部採取し,そこからRNAを抽出し,real-time PCR法を用いて発現量の確認を行っている.さらにこれらのlineの維持、繁殖も同時に施行している. CILPトランスジェニックマウスの表現型の解析は現在試行中であるが、解剖学的検討、組織学的検討を行っている.さらにそれぞれの作成したベクターごとで脊椎の椎間板変性に対する表現型の確認をマウスの脊椎MRIを用いて行った.(BioView社に依頼)結果は現在解析中である.
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