再生核ヒルベルト空間に基づく機械学習理論に関し、以下に示す理論的解析を行った。 1.従来、カーネル関数を用いた機械学習において、カーネル関数は、高次元(時には無限次元)の特徴空間における内積を規定するものである、という漠然とした解釈しか与えられていなかったが、より具体的に、カーネル関数が未知の推定対象が属する再生核ヒルベルト空間、及び、当該未知推定対象の相関構造を規定するものであると解釈できることを明らかにした。 間接的に機械学習理論に応用できる可能性のある有限次元線形推定理論に関し、以下のような理論的解析及び手法の開発を行った。 1.画像や音声といった信号の欠損値を推定する問題に対し、固有空間、及び、ウィーナー復元の考え方を用いた枠組みを与えると共に、これまで解明されていなかった問題を解決した。 2.二つの非不定値エルミート行列の線形結合の一般逆を、多数の結合係数に対して高速に求める手法を開発し、機械学習におけるパラメータ選択の効率化に道を開いた。 3.二次統計量を利用するブラインド分離問題に関し、解の解析的表現や高精度化を行うアルゴリズムを与えた。 4.信号処理に用いられるユニタリー行列の性質について、群論的な解析を行った。
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