本年度は、配置問題と呼ばれる分野の中から、次の3種類の問題に対する近似解法の開発を行った。 1.長方形配置問題 2次元配置問題の中で、これまで最も盛んに研究が進められてきた問題が長方形配置問題である。この問題に対する近似解法・発見的解法は、国内外において数多く提案されてきた。それらの中には、効率的な実装手法や計算の複雑度が知られていないものがあり、工学的応用の場面で実際に利用するには不十分な状況であった。本研究では、特に実用性が高いと考えられている2つの手法に対して、効率的な実装手法を提案した。 2.多角形配置問題 近年、盛んに研究が行われている多角形配置問題に対し、実用的近似解法の構築というテーマで研究を進めた。この問題は様々な工学的応用を持ち、実用的解法のニーズが高い問題と考えられている。提案手法は、局所探索に基づくものであり、近傍探索の効率化という点に主眼をおいたものである。来年度も、このテーマに沿った研究を継続的に実施する予定である。 3.カッターパス計算問題 配置問題と非常に関連の強い、カッターパス計算問題に関する研究も行った。本問題では、多角形配置問題を解くことによって得られる配置を入力とし、この配置図から各多角形を効率的に切り出すことを目的とする。本研究では、現実に現れる問題の忠実なモデル化と、高速な実用的解法の提案を行った。
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