研究概要 |
本研究では,代表的な組合せ最適化問題の中から配置問題を取り上げ,この問題に対する様々な近似解法を設計し,その性能を理論的・数値的に評価することを目的として研究をすすめてきた.本年度は,次の2種類の問題に対する近似解法の開発および性能評価を行った. 1. 長方形配置問題 長方形配置問題とは,長方形集合と配置空間(2次元平面)が与えられたとき,出来る限り充填率の高い配置を求める問題である.この問題は,2次元配置問題の中でこれまでに最も盛んに研究が進められ,近似解法・発見的解法は,国内外において数多く提案されてきた.それらの中には,効率的な実装手法や計算の複雑度が知られていないものがあり,工学的応用の場面で実際に利用するには不十分な状況であった.本研究では,特に実用性が高いと考えられている手法に対して,効率的な実装手法を提案した.さらに,この手法の理論的な精度保証に上界と下界から迫り,オーダ記法の意味において両者を一致させることに成功した. 2. 多角形配置問題 近年盛んに研究が行われている多角形配置問題に対し,実用的な近似解法の構築というテーマで研究を進めた.この問題は様々な工学的応用を持ち,実用的解法のニーズが高い問題と考えられている.提案手法は,局所探索とメタ戦略に基づくアルゴリズムであり,近傍探索の効率化に主眼をおいたものである.広く用いられているベンチマーク問題による数値的なアルゴリズム評価を行い,平均的に既存の最良手法と同等の性能を持つこと,問題例によって,過去の最良解を上回る解を出力できることを確認した.
|