ペイントショップ問題に関する理論的な考察を進め、初期段階ではあるが以下のような成果を得た。 1.Min 2CNF Deletion問題、Min Multi Cut問題などのいくつかの最適化問題と深い関連があり、ペイントショップ問題をこれらの問題に帰着することができることを示した。すなわち、これらの問題に対する既知のアルゴリズムを利用できることを示した。 2.最適解を多項式時間で得られる入力集合についての性質をいくつか示した。高度なアルゴリズムの設計には、多項式時間で解決可能な(制限された)入力の構造をうまく取り扱うことが必要である。Clutterと呼ばれる構造に対しては多項式時間で最適解を得ることができることが知られていたが、別の自然な構造に対しても多項式時間で最適解を得ることができることを示した。 リング上ネットワークにおける探索問題に関する理論的な考察を行い、以下のような成果を得た。 1.最近傍探索アルゴリズムにより、競合比1.5が得られることを示した。 2.重み付き近傍探索型アルゴリズムにおいては、いかなる重みの付け方をしても最近傍探索アルゴリズムよりも性能が良くならないことを示した。 3.いかなるアルゴリズムも、競合比は1.33より良くはならないことを示した。 これらの成果の一部については、国際会議33rd Conference on Current Trends in Theory and Practice of Infbrmatics (SOFSEM 2007)と電子情報通信学会コンピューテーション研究会などにおいて公表した。
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