研究概要 |
近年の集積回路の微細加工の技術の進歩に伴い,並列計算システムやVLSIシステムなどのマルチプロセッサシステムの規模は飛躍的に大きくなったが,一方でシステム内のプロセッサの故障数を大きくし,そのためにシステム内の耐故障化技術の開発が大きくなってきた.本研究では,耐故障化の技術の一つである故障診断に関連して,正しい動作と誤った動作をくり返すような断続的な故障を持ったプロセッサが存在した場合のマルチプロセッサシステムの故障診断について考察した.特に,平成18年度に予定していた 1.t個の故障プロセッサを常に発見できるようなシステムとはどのような構造を持ったシステムであるか,その条件を理論的に示し, 2.システムが条件を満たしているかどうかを効率的にチェックを行う手法を開発する の2つの課題に対して,1.に対してはt個の故障プロセッサを常に発見できるようなシステムとはどのような構造を持ったシステムであるかの条件を理論的に提示し,さらに2.に対しては大部分のシステムに対して1.で得られた条件を満たしているか否かを正しく判定する効率的な手法を提案した.しかしながら,1.で得られた条件を完全に判定する手法に関しては現在のところ得られていない. 一方,平成19年度に予定していた故障診断手法の開発に関しても若干の成果を得た.特に,2.に関する成果によって得られた手法を用いて1.の条件を満たすと判定されたシステムに対して,実際にどのプロセッサが故障しているかを同定するための手法を開発した. 平成19年度では,1.で得られた条件を完全に判定するための手法の開発と,1.の条件を満たす全てのシステムに対する故障診断手法の開発を行う予定である.
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