研究概要 |
平成20年度は, 以下の項目について研究を行い, 成果を発表した. (1) プロセス構成資源の再利用によるforkとexecシステムコールの高速化 (2) プロセスとメモリ関連資源の独立化による処理の高速化 (3) 資源の分離と独立化を利用したプロセス間通信機構の提案 (4) プロセスの走行状態を意識した可視化機能 (1) については, UNIX系OSのプロセス生成システムコールI/FであるforkとexecをTenderに実現し, 資源再利用機能を適用することで, その処理を他OSよりも高速化できることを示した. また, Webサーバを用いて, 他OSと比較し, その効果を確認した. (2) については, プロセスと仮想記憶空間の関係を独立化させたヘテロ仮想記憶を提案し, 資源の独立化機構を利用した仮想記憶空間を再利用することにより, プロセス生成, プロセス間通信, プロセス移動を高速化できることを示した. また, Webサーバでその効果を確認した. (3) については, メモリ管理資源を独立化させたことを生かしたプロセス間通信機構を提案した. また, ローカル環境だけでなく, 複数計算機が存在する分散環境において, プロセス間通信を実現する方式を示した. (4) については, 資源の利用状況を把握し, その必要量を見積もるために必要となる可視化機能に, プロセスの走行状態を考慮して, 実行状態を可視化する機構を実現した. これにより, ユーザモード, カーネルモード, 割り込み処理, 及び例外処理のどの部分の処理が実行されているのかを視覚的に理解できる.
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