研究概要 |
本研究は, 等価変換に基づき形式的仕様から効率化されたプログラムを自動生成する方法をWebサービスに適用する試みである。本研究の目的は, Webサービスを複数組み合わせて新しいサービスを作り出すマッシュアップなどで, より短期間に正確で効率的なプログラムが開発できるようにするための技術を開発することである。一般的にプログラミングのコーディングは人手で行われるが, 本研究で開発する技術を用いることにより, 開発者はシステムの形式的仕様を記述し, 形式的仕様に関して正当で効率的なプログラムを自動生成できる。形式的仕様の記述は, 手続き的意味を考慮せずにシステムの設計を記述できるのでプログラムを記述するよりも開発者の負担を大きく減らすことが出来る可能性がある。等価変換に基づくプログラム自動生成を実現するために自動生成のための必要な性質を満たす言語処理系を独自に開発する必要があった。本研究では, この言語処理系にWebサービスのための機能を追加・拡張を行い, ネットワーク上にあるデータを形式的仕様の一部として扱うことを可能にした。拡張した言語処理系を用いて, 実存するWebサービスに接続しテータを取得しながら形式的仕様を構成しそこからプログラムを自動生成するシステムを試作し実験を行った。20年度の具体的な研究成果は以下の通りである。仕様の自動生成という新しい研究課題の発見 : ネットワーク上のデータを形式的仕様として扱うことは, 仕様の自動生成として一般的に捉える必要がある可能性が出てきた。この新しい課題の発見により新しい研究の必要性が認識できた。Webサービスの効率化に関する知見 : 本研究のプログラム自動生成と効率化の方法は, データキャッシングと実行時ワンパイルによる効率化を一般化できる可能性があることを発見した。今後これらの研究を更に進め論文を発表する予定である。
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