研究概要 |
本研究の目的は,flash crowdsなどの集中的なアクセスが発生しても安定したサービスを提供し続けるインターネット・サーバの構成法を確立することである.インターネット上に数千から数十万台規模のノードを地理的に分散配置した巨大な"サーバ配信ネットワーク"を創出するための基盤技術を供する.サーバ配信ネットワークとは,複数のサービスを同時に提供するための基盤であり,その上で数万から数百万の異なるサービスを同時に提供する.サーバ配信ネットワークでは,各サービスの規模に応じて自動的に複数のノードが選択され,サービスを提供するサーバ・プログラムが選択されたノードに配送され,各サービスの提供が行われる.このようなサーバ配信ネットワークを実現するための基本的なプロトコルの設計を行った.具体的にはCANという分散ハッシュテーブルとGNPというノード間距離の推定方式を組み合わせたオーバーレイ・ネットワークを構築し,そのうえでアクセスパスの集中度というメトリックを用いたアクセス状況の監視・およびサーバを配信する位置の特定を行う手法を確立した.OverlayWeaverというネットワークシミュレータを用いた実験を行った結果,おおよそ期待通りの良好な結果を得ている.すなわち,1)flash crowdsなどのアクセス集中に対しても頑強である,2)広域分散環境におけるサーバの負荷分散が可能となる,3)クライアントの多い地域にサーバを集中配備し応答性の向上,インターネット全体におけるトラピック量の削減などの期待した成果がおおむね得られている.
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