研究概要 |
速度と消費電力とのトレードオフに注目しながら,投機技術を積極的に利用する高性能なチップマルチプロセッサの方式を開発することを本研究の目的としている. 本年度は,方式検討および方式評価の基盤となるソフトウェアシミュレータの構築を進めるとともに,プロセッサコアを接続するネットワークと共有キャッシュの方式を単純なものに固定するホモ構成のチップマルチプロセッサの基本性能の検討した.また,新しい投機技術のひとつとしてソフトウェア分岐予測の可能性の検討をおこなった. プログラムの動的な挙動に応じて適用する投機技術を変更できる方式のひとつとして,従来はハードウェアでおこなっていた分岐予測をソフトウェアで実現するソフトウェア分岐予測を提案した.また,近年注目を集めているCel1プロセッサを搭載する実機を利用してソフトウェア分岐予測の効果をアセンブラのレベルにおいて実装評価し,その高い予測精度および高速化への可能性を明らかにすることができた.基盤となるシミュレータの構築に関しては,来年度以降に利用するためのクロックレベルの精密なシミュレータの土台となる機能レベルのマルチコアプロセッサシミュレータの実装を進めた.具体的には,複数のコアの環境における機能レベルのソフトウェアシミュレータを実装した.プロセッサシミュレータの実装においてはその動作検証が不可欠である.構築したシミュレータはマルチコアプロセッサを搭載する実機を用いて検証し,その動作が正しいことを確認することができた.
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