(1) 平成18から19年度において研究を行った不完全分解前処理の並列処理における解法選択アルゴリズムを非対称行列を扱う実応用数値シミュレーション(MHD発電機内弱電離プラズマの数値解析)に応用し、多色順序付け法による並列ILU-BiCGSTAB法の発展形として開発した。複数のマルチコアプロセッサにより構成されるT2Kオープンスーパーコンピュータ(Kyoto)や大規模SMP型並列計算機Fujitsu HPC2500上で性能評価を行い、良好な並列台数効果を実現した。また、開発したソルバに対してインターネット上で公開されている係数行列データを用いた性能評価を行い、適切な並列化アルゴリズムの選択により反復法の求解性能を向上させることが可能であることを示した。 (2) 平成19年度において提案したExplicit/Impliqit Error Correction(EEC、IEC)法の概念を整理し、様々な応用分野での連立一次方程式の求解に適用可能な形として確立した。次に、同手法を用いた解法選択においては、補助行列の決定が大きな影響を与えることを見出し、適切な補助行列を設定するための条件について研究を行つた。本研究成果についてIEEE Transaction on Magnetics誌上で発表を行った。また、具体的な実応用上め適用事例として、時間周期有限要素法による電磁場解析を対象として、EEC法の概念を適用することにより大幅に計算時間を短縮させることに成功した。
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