研究概要 |
システムLSI設計技術は, 配線幅が90nmや65nmといったディープサブミクロン時代に突入し, その設計生産性を向上するには, システムの動作レベルからシステムLSIを自動設計することを可能とした「高位合成技術」が極めて有効である. 実用化段階の高位合成は, 後工程となる「物理合成」を完全に切り離して考えているが, 物理合成をも陽に採り入れた高位合成システムに対する研究が急務と言える. 本研究ではディープサブミクロン技術を想定した物理設計指向の高位合成アルゴリズムの構築を目的とする. とりわけ, 平成20年度は, これまでの成果の集大成として高位設計フロー全体を構築した. 最終段階の高位合成システム構築として, データフローグラフ/コントロールフローグラフ(CFG/DFG)を対象とした高位合成フェーズ, ならびに, 概略配置-配線を対象とした物理合成フェーズを考えたアルゴリズムを構築する. さらに, 平成19年度の結果を用いた機能モジュール間配線情報のフィードバックフローを確立した. (1) 平成18年度の本研究課題によって得られた結果をもとにCFG/DFGならびに配置・配線を含めたフローを完成した. 特に, 高位合成フェーズではコントロールフローに対応するため, CV(Conditional Vector)の概念を導入し, これとモジュール間配線遅延情報とを考慮したアルゴリズムを構築した. 物理合成フェーズでは, 既存のアルゴリズムに加えて, 申請者の既存研究たる高速配置・概略配線アルゴリズムを導入した. (2) さらに提案・構築したフローを用いた高位設計・物理設計を行いアルゴリズムの妥当性を実証した.
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