研究概要 |
ユビキタスな環境上で構成されるシステム開発における開発者の作業負担を軽減し,かつ,システムを利用状況に即して段階的に進化させサービスを高度化することを研究目的とし,今年度は(1)種々のネットワーク環境特性の分析によるネットワーク環境とシステム動作の相互影響性の把握,(2)環境に特化したエージェントを開発するための知識テンプレートの検討の2点に焦点を当てて研究開発を推進した. (1)については,現状の様々なネットワーク環境を準備し,それらの各種パラメータとシステムの挙動の関係を測定・分析した.環境の構築には,購入設備備品のうち「ギガビットネットワーク環境測定用/無線環境測定用ノート型PC」「無線小型端末環境測定用PDA」「PHS回線環境測定用ノート型PC」を利用した.また,ネットワークは本研究所のネットワークを利用し,ギガビット環境・有線LAN環境・無線LAN環境・PHS回線環境における測定を行った.測定した環境パラメータは,パラメータ自体の変動がサービスの品質に直接影響すると予想されるものを選択し,OSの種類・CPU情報・メモリ情報・解像度情報・ネットワーク接続方式・ネットワーク実行スループットの6つである.上記測定の結果,それぞれの環境における特性を表出化することができた. 次に,(2)については,測定した環境パラメータデータを元に,特定環境に特化したエージェントの動作知識を自動生成する機構を開発支援環境の内部機構として設計・実装し,動作知識テンプレートを有効に活用する仕組みを整えた.また,上記機構を組み入れた開発支援環境を用いて,有用な環境特化型エージェント動作知識テンプレートをリポジトリに集積可能であることを確認した.そして,上記の動作知識テンプレートを用いた店舗情報検索システムの試作を行い,特定環境に特化したシステムの開発が活性化されることを確認し,テンプレート活用の有効性を実証した.
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