研究概要 |
ユーザ需要に基づくデータの複製配置を利用した,MANETでの効率の良い情報検索を行うための,新しい方式を提案した.提案方式では,データレコードは,移動ノードのみからなるシステムに登録され,また検索される.情報の最小単位であるレコードに,カテゴリ番号を付加する.各カテゴリ番号はそれぞれシステムであらかじめ定められたキーワードに対応する.提案手法の運用領域はエリアと呼ばれる正方形領域に分割されているとする.それぞれのカテゴリのデータを,そのカテゴリの情報を求めているユーザが多い幾つかのエリアに関連付け,それらの領域内のノード群に複数することを基本方針とする.システムは周期的にカテゴリごとエリアごとに送信されたクエリの数を階層的フラディングを用いて比較的少ない数のメッセージで収集・伝播する.計測した需要情報は全ノード間で共有され,この情報に基づいて,データレコードを高需要エリアの近傍に保持する.移動端末群が,収集された需要情報から応答期間,通信コスト,データアクセス率の点で準最適な複製配置を自律的に決定するアルゴリズムを開発した.特定のエリアへの複製レコード送信やクエリメッセージ送信・結果受信の手段として,地理情報を利用した経路制御プロトコルの一つであるGPSRを用いる.大阪駅周辺の地図および実測したノード密度を用いたシミュレーションを通して,提案方式が実用上十分な性能を示すことを確かめた. 上記の研究内容を論文としてまとめ,国際会議Mobiquitous 2007と,情報処理学会論文誌に投稿した.これらの論文は現在査読中である.
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